健康管理

鉄瓶の白湯に含まれる鉄分量と効果は?味や下痢をする説についても

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ダイエットやデトックス効果に定評のある白湯ですが、鉄で作られた「鉄瓶」で沸かすことで不足しがちな鉄分の補給もできるのが嬉しいですね。

しかも鉄瓶で沸かした白湯からは体に吸収しやすい鉄分が摂取できるのでとてもおすすめです。

今回は、鉄瓶で作る白湯に含まれる鉄分量や効果、味の変化や下痢をするといったデメリットについてもまとめてみました。

鉄瓶で作る白湯の鉄分溶出量はどれくらい?

鉄で作られた鉄瓶で沸かした白湯には、体に吸収されやすい「ヘム鉄(二価鉄)」という鉄分が含まれます。

これは鉄瓶の素材に使われている鉄が溶けだしたもので、その結果、白湯を飲むことで日本人に不足しがちな鉄分を摂取することが可能となります。

気になるのが白湯の鉄部溶出量ですが、仮に700~800ml程の白湯を飲んだとして摂取できる鉄分量は0.14~0.16mgで、これは1日の推奨鉄分摂取量(成人男性:10mg、成人女性12mg)に対する割合の1.4~1.6%程度です。

参考論文>> 調理中に鉄鍋から溶出する鉄量の変化

このように、鉄瓶で沸かした白湯から摂取できる鉄分量は、1日の必要量に比べて少ないことがわかります。

しかし、これはあくまで補助的な役割と考えれば十分です。なぜなら、鉄瓶から溶け出した鉄分は、体に吸収されやすい「ヘム鉄(二価鉄)」という形態で存在しているからです。

ちなみに、鉄分補給の食品で話題に上がることの多いホウレン草やひじきなどに含まれる「非ヘム鉄(三価鉄)」は吸収率がそれほど高くないため、貧血対策にはヘム鉄がオススメです。(ヘム鉄は非ヘム鉄の5~6倍の吸収力があると言われています)

【参考】ヘム鉄が含まれる食品 >> e-ヘルスネット(厚労省)

ヘム鉄は肉や魚にも含まれているので、鉄瓶で作った白湯と合わせて摂取することでさらに鉄分補給が万全になります。

南部鉄瓶から摂る鉄分の効果は?

南部鉄瓶は、鉄瓶の中でも特に鉄分の溶出量が多いと言われています。

南部鉄瓶から摂る鉄分の効果としては、以下のようなものが期待できます。

効果 補足事項
貧血予防・改善 貧血は、血液中のヘモグロビンが減少することで起こりますが、ヘモグロビンを作るには、鉄分が必要です。南部鉄瓶で沸かした白湯を飲むことで、不足しがちな鉄分を補給しヘモグロビンの生成を促すことができます。
免疫力向上 鉄分は、免疫系の細胞や抗体を作るのにも必要な栄養素です。特にリンパ球やマクロファージという細胞は、感染やがんなどの異物を排除する働きを持っています。
美肌効果 鉄分は、コラーゲンやエラスチンという肌の弾力やハリを保つタンパク質の合成にも関与しています。また、血液中の酸素を肌細胞に運ぶことで、肌の新陳代謝やターンオーバーを促進します。

南部鉄瓶の貧血への効果は?治った人は多いのか

南部鉄瓶は、貧血予防・改善に効果があると言われていますが、実際に治った人は多いのでしょうか? ここでは、南部鉄瓶を使って貧血を克服した人の体験談や、その効果的な使い方について紹介します。

南部鉄瓶を使って貧血を克服した人の体験談は、インターネット上にも多く見られます。例えば、以下のようなものがあります。

妻のヘモグロビン量は毎回8g/dl前後で中度の貧血状態でしたが、南部鉄瓶で沸かした白湯やお茶を飲み始めてから、安定して10を超える数値になりました。

時々貧血の症状が出るということで南部鉄瓶や鉄鍋を使っている。南部鉄器で生じる二価鉄は腸で吸収しやすく、貧血に高い効果が見込める成分だと聞いていたがそのとおりだと思った。

食後に鉄瓶で沸かした湯飲み一杯のお茶を飲んだり、デザートにビタミンCを含むフルーツなどを食べるとより効果的だった。

 

鉄瓶からの鉄分だけで貧血が治ったという声はありますが、あくまでも補助的な役割で考えておいた方が良いでしょう。

プルーンなど鉄分含有量の多いフルーツなどで鉄分を補うようにすると、貧血対策としてはさらに効果を発揮できるはずです。

 

>>プルーンの約37.5倍の鉄分を含む話題のドリンク

 

鉄瓶の白湯の飲み過ぎで下痢をする理由は?

体に良いとされる白湯ですが、飲みすぎてしまうと下痢を引き起こす場合もあります。

原因としては、

  1. 単純に水分の摂りすぎ
  2. 白湯の好転反応

この2パターンが主なものです。

もう少し詳細をお伝えしていこうと思います。

水分の摂りすぎ

体内に大量の水分を取り込むと、血中のナトリウム濃度が下がり電解質のバランスが崩れて、下痢をはじめ頭痛やめまいなどを引き起こすことがあります。

白湯を飲む場合は1日に700~800ml程度を目安とし、一気に飲むのではなく少しずつ飲むようにしましょう。

好転反応

白湯には、毒素排出などデトックス効果が期待できます。

その効果が出始め、飲み始めの数日~2週間程度はお腹が緩くなる場合があるのです。

それを過ぎると下痢・便秘も安定してきますので、すぐに白湯を辞めず少しの間様子をみることをおすすめします。

あまりにも下痢がひどかったり、長く続くような時は病院へ行ってみましょう。

鉄瓶を使った白湯の沸かし方

鉄瓶を使って白湯を沸かすと鉄分が溶け出して身体に良いと言われていますが、その沸かし方や沸騰時間には注意が必要です。

ここでは、鉄瓶を使った白湯の沸かし方と沸騰時間について紹介します。

鉄瓶を使って白湯を沸かすときは、以下のような手順で行います。

  1. 鉄瓶に水を入れる
  2. 鉄瓶に火をかける
  3. 鉄瓶からお湯を注ぐ

【補足事項】

鉄瓶に水を入れるときは、水道水ではなく浄水器でろ過した水やミネラルウォーターなどの軟水を使うと良いです。水道水に含まれる塩素やカルキは、鉄瓶の内部に錆や汚れを生じさせる原因になります。

また、硬水はカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれており、鉄分の吸収を妨げる可能性があります。鉄瓶に入れる水の量は、半分から7割程度が目安です。

鉄瓶に火をかけるときは、弱火から中火でじっくりと温めます。強火で急激に加熱すると、鉄瓶の内部が変色したり、水が沸騰しすぎてこぼれたりする恐れがあります。また、ガスコンロやIHヒーターなどの直火で加熱することがおすすめです。電気ポットや電子レンジでは、鉄分の溶出量が少なくなる可能性があります。

鉄瓶からお湯を注ぐときは、沸騰したらすぐに火を止めます。沸騰後も長時間加熱すると、水分が蒸発して濃度が高くなりすぎたり、二価鉄が三価鉄に変化して吸収率が低下したりする可能性があります。

また、お湯を注ぐ前に一度振って混ぜると、溶け出した鉄分が均一になります。

鉄瓶を使った白湯の沸騰時間

鉄瓶を使って白湯を沸かすときは、沸騰時間も重要です。一般的には、以下のような目安があります。

【食事前や空腹時に飲む場合】

食事前や空腹時に飲む場合は、沸騰時間は約5分程度が良いです。この時間だと、二価鉄の溶出量は約0.2mg/100ml程度になります。

これは、一日に必要な鉄分量の約2%に相当します。食事前や空腹時に飲むことで、胃液が薄まり、胃から腸へ移動する速度が速くなります。

これにより、二価鉄が胃で三価鉄に変化することを防ぎ、吸収率を高めることができます。

【食事中や食後に飲む場合】

食事中や食後に飲む場合は、沸騰時間は約10分程度が良いです。この時間だと、二価鉄の溶出量は約0.4mg/100ml程度になります。

これは、一日に必要な鉄分量の約4%に相当します。食事中や食後に飲むことで、ビタミンCやクエン酸などの成分と結合して吸収しやすい形態に変化させることができます。

鉄瓶で鉄分摂りすぎになることはあるか

鉄瓶で毎日お湯やお茶を沸かして飲んだり、鉄のフライパンで毎日調理したりすると、鉄分が過剰に摂取されることはあるのでしょうか?

ここでは、鉄分の過剰摂取の原因や症状、予防法について紹介します。

鉄分は、血液中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンなどに含まれており、酸素の運搬やエネルギー代謝に必要なミネラルです。一日に必要な鉄分量は成人男性で約10mg、成人女性で約12mgです。

しかし、食事から摂る鉄分は吸収率が低く、一日に約1~2mgしか吸収されないため、通常の食事では鉄分が過剰になることはほとんどありません。(そのため、多くの人が鉄分不足に陥っています)

しかし、以下のような場合には鉄分が過剰に摂取される可能性があります。

鉄分過剰摂取の原因 補足
鉄剤やサプリメントを自己判断で服用する 貧血予防や改善のために、鉄剤やサプリメントを自己判断で服用すると、鉄分が過剰に摂取される恐れがあります。特に、妊娠中や授乳中の女性は注意が必要です。鉄剤やサプリメントは医師の指示に従って服用しましょう。
錆びた水道管から出る水を飲む 錆びた水道管から出る水には、溶け出した鉄分が含まれています。この水を長期間飲み続けると、鉄分が過剰に摂取される可能性があります。
遺伝性の代謝異常がある ヘモクロマトーシスという遺伝性の代謝異常がある場合、食事から摂った鉄分を排出する能力が低下しています。そのため、通常よりも少ない量の鉄分でも過剰になりやすくなります。

 

上記のことから、鉄分の過剰摂取を予防するためには以下のような方法が有効だと言えます。

  • 錆びた水道管から出る水を飲まない
  • 遺伝性代謝異常があれば早期発見・治療する
  • 食事からバランスよく栄養素を摂る

最も重要なことは、すぐにサプリなどに頼るのではなく、食事からバランスよく栄養素を摂ることです。これによって必要以上の鉄分を摂らずに済みます。

鉄瓶からの鉄分を補助として、鉄分の含有量が比較的多いプルーンなどのフルーツを組み合わせることで、バランスよく補給することができるでしょう。

 

>>鉄分補給に最適なプルーン飲料

 

鉄瓶の白湯の味はまずいか美味しいか

「鉄瓶で沸かした白湯はまろやかな味がする」という意見を多く目にします。

これは、鉄瓶の鉄が水に溶け出したことと、鉄瓶で沸かすことで水の中のカルキがほぼ除去されるためです。

これによってクセがなくまろやかな味になるため、水道水が苦手でも鉄瓶で沸かした白湯は飲めるという人もいます。

個人の感じ方なので程度の差はありますが、やかんで沸かした白湯に比べて「やさしい」「まろやか」といった、飲みやすさを感じる人は多いです。

鉄瓶の白湯を使ってお茶やコーヒーを楽しむ人もいて、味の違いがあることは間違いなさそうです。

鉄分が摂取できない鉄瓶もある?

鉄瓶で白湯を沸かすだけで鉄分が補給できるという嬉しい効果がありますが、中には鉄分が摂取できない鉄瓶もあるので注意が必要です。

そうした鉄瓶の特徴は、錆止めのために内部が塗料などでコーティングされているものです。

錆が発生しないので管理が簡単になる一方で、鉄分が溶出しなくなるので選ぶ際には注意してくださいね。

鉄瓶の白湯は水筒に入れても大丈夫?

鉄分が含まれる白湯ですが、水筒に入れても錆びたりしないのか気になりますよね。

鉄瓶での白湯ユーザーのブログでも、ステンレスの水筒に入れて持って行っているという記事があるので試しにやってみましたが、いつもの水を入れているのと変わりはありませんでした。

さすがはステンレス!と言うべきか、錆びるほどの鉄分はさすがに含有していない可能性も…。

何はともあれ、鉄瓶で作った白湯でも気にせずに水筒で持ち運べるのであれば外出先でも飲めるので助かりますね。

同様に、冷蔵庫などで保管しても大丈夫かと気になる方もいると思いますが、冷蔵庫での保管も問題ありません。ただし、長期間保存すると品質が低下したり劣化したりする可能性があるので注意が必要です。

鉄瓶の白湯で鉄分が摂れるのは嘘なのか

鉄分補給を期待して鉄瓶で白湯を作って飲んでいたけど効果がなかったとか、そもそも鉄分が溶出することはないという「鉄瓶の白湯で鉄分が摂れるのは嘘説」もあるようですね。

鉄瓶の白湯にヘム鉄(二価鉄)が含まれるのはすでに実証されていることなので嘘ではないのですが効果が感じられないという方は、もしかすると前述したとおり内部がコーティングされている鉄瓶である可能性もあります。

知らずにそうしたタイプの鉄瓶を使っているのであれば鉄分が摂れるなんて嘘という感想を抱く可能性は十分にありますが、コーティングなしの鉄瓶であれば鉄分の摂取は可能なので嘘と断定するのは誤りと言えます。

鉄玉子は危険・効果なしって本当?

鉄玉子とは、岩手県で昔から作られている南部鉄器を玉子型にしたものです。鉄玉子をやかんや鍋に入れてお湯を沸かすと、鉄分がお湯に溶け出し、飲み物や料理に使うことで鉄分補給ができるという商品です。

まず危険性についてですが、鉄玉子から溶け出す鉄分は二価鉄という形で溶け出し、身体に吸収されやすいとされています。しかし、二価鉄は過剰摂取すると体内で活性酸素を発生させる可能性があり、細胞の老化や病気の原因になるという研究結果もあります。

また、二価鉄は三価鉄よりも毒性が高く、一度に大量に摂取すると中毒症状を起こすこともあります。

したがって、鉄玉子から溶け出す鉄分は適度な量であれば有効ですが、過剰摂取すると危険な場合もあると言えます。そのため、鉄玉子の使用方法や量には注意が必要です。具体的には、

  • 鉄玉子は水1Lあたり1個以下で使用する
  • 鉄玉子を入れたお湯は沸騰させずに90℃程度で保温する
  • 鉄玉子を入れたお湯は1日以内に使い切る
  • 鉄玉子を使った飲み物や料理は他の食材や調味料で味付けする
  • 食事全体のバランスを考えて、他の鉄分含有食品やビタミンC含有食品と一緒に摂取する

などの対策が必要です。過剰摂取の症状(吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・頭痛・めまい・発熱など)が出たら直ちに医師に相談するようにしましょう。

次に、効果のなさについてですが、これは個人差や使用方法によって異なります。一般的には、水1Lあたり0.05mg程度の鉄分が溶け出すとされています。

これは日本人の一日あたりの推奨摂取量(男性8.5mg、女性6.5mg)の約千分の一程度です。したがって、鉄玉子だけで十分な鉄分補給ができるというわけではありません。

しかし、微量でも吸収率の高い二価鉄であることや、他の食材や調味料と組み合わせることで吸収率を高めることができることから、効果が全くないということもありません。実際に、鉄玉子を使って貧血が改善したという体験談もあります。ただし、これも個人差や使用方法によって異なりますし、医学的な根拠は乏しいです。

したがって、鉄玉子から溶け出す鉄分は効果がある場合もあればない場合もあると言えるため、

  • 食事全体のバランスを考えて他の食材や調味料と一緒に摂取する
  • 飲み物や料理以外にもフルーツなどで補助的に摂取する
  • 定期的に血液検査を受けて貧血や鉄分不足の状態を確認する
  • 医師や栄養士などの専門家のアドバイスを受ける

などの対策が必要です。

まとめ:鉄分白湯に含まれる鉄分について

鉄瓶をはじめ、鉄製の鍋や鉄玉子といった商品を使うことで、普段私たちが口にするものから鉄分を補給することができます。

鉄瓶で白湯を作ることで毎日手軽に鉄分が摂取できるので鉄分不足に悩む方にはとても助かるアイテムです。

また、鉄瓶と言えば直火のイメージがありますが、実はIH対応の鉄瓶も販売されています。

なお、鉄瓶で白湯を作る際には蓋をして沸騰させて、沸騰後は蓋を外して15分程度沸かし続けるようにします。

鉄分補給やデトックスなども勿論ですが、おうち時間の長い昨今、愛用の鉄瓶で沸かした白湯でリラックスする時間を作るのもいいかもしれませんね。

また、錆止めなしの鉄瓶であっても、沸かした白湯に溶け出す鉄分は1日の必要量に足りるものではありませんので、あくまで鉄分補給の補助として毎日続けるようにするのが適切な鉄分摂取のコツと言えるでしょう。